しじみに有害性は?

健康に役立つ成分が豊富で、いつでも手軽に手に入ることから、日常的にしじみをメニューに取り入れている方も多いかと思います。日本人にとっては慣れ親しんだ食卓の味ですが、しじみに有害性はあるのでしょうか?

食中毒に注意

しじみをはじめとする二枚貝は、餌となるプランクトンや有機物を食べる際、一緒にウィルスも濾し取り中腸線に蓄えています。蓄えているウィルスの数に違いはあっても、ほとんどのしじみがウィルスを持っていると考えてよいでしょう。

ノロウィルス

冬になると流行し、たびたびニュースになる感染性の嘔吐・下痢症。その原因の第一位がノロウィルスです。潜伏期間は1~2日、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱などの症状がみられます。感染力が非常に強く、感染者の吐瀉物や便から細かい飛沫となり空中を漂っていたものにより二次感染が出た例もあります。しじみもノロウィルスを持っている可能性があります。85℃で一分以上加熱することにより感染力を失いますので、生食は避け十分加熱調理しましょう。

A型肝炎ウィルス

A型肝炎を引き起こすウィルスであるA型肝炎ウィルスも、しじみが蓄えている可能性があります。潜伏期間は平均4週間、下痢、発熱、倦怠感、吐き気、嘔吐、黄疸や肝肥大の症状が出ます。免疫を持たない中高齢者が感染すると、重症化する恐れがあるためノロウィルスと同等かそれ以上注意する必要があります。A型肝炎ウィルスも85℃で一分以上加熱することで不活化しますので、食べる際は十分な加熱を忘れずにしましょう。

貝毒

貝毒の原因はウィルスや菌類ではなく、二枚貝が餌として食べるプランクトン自身にあります。毒を持った一部のプランクトンを貝が食べることで蓄積されていきますので、毒性を持ったプランクトンのいる水域で育ったしじみは貝毒を蓄えている可能性があります。

貝毒の症状

日本国内では下痢性と麻痺性の貝毒が確認されており、どちらも毒性は高く食後30分ほどで症状があらわれます。下痢性は下痢、腹痛、嘔吐、麻痺性は舌や唇、顔面や手足にしびれが生じ、呼吸困難で死亡するケースもあるといいます。貝毒は見た目や臭いでは判断できず、熱にも強いため予防する方法がありません。貝毒が発生した地域のしじみは避けるようにし、症状があらわれた際は速やかに医療機関を受診しましょう。

しじみの有害性についてみてきましたが、加熱調理しても予防できない貝毒を恐ろしいと思われたかもしれません。貝毒については、行政による検査体制が確立されていますので、貝毒をもったしじみが店頭に並ぶことはまずありません。自分や知人が獲ったしじみについては貝毒が発生していない水域のものであるか確認が必要です。基本的には、十分な加熱調理をすることで食中毒を予防することでしじみの有害性は避けられる、と考えてよいでしょう。